奮闘編・3
すべての手が無駄に終わり、僕は一端復讐を諦めた。
しかし、リハビリ期間を経て家に戻ってくると、やはりうるさい二階のやつら。
駄目だ、一端許容しようとしていた自分が情けない。
もう、手加減はよそう、こうなったら、死を覚悟してでもやつらをぎゃふんと言わせてやる。
さて、今回の方法とは?
我が家には一つ、面白いプラカードがある。
それがこれである。
自分でもどこでこんなものを手に入れたのか
良く分からないのだが、とにかく押入れの中にあった。
そう、今回はこれを使って復讐しようと思う。
その方法とは実に画期的で、自分でも恐ろしくなる。
まずこのプラカードをもって二階に行く。
そして、
のように、くそったれの二階住人宅のドアに貼る。
するとどうなるか?
遠くから見ても、あの黄色いプラカードは目立つ。
どこからどう見てもあの部屋は「3年2組」である。
すると本当の3年2組の子供達は登校中、
「あれ?ここが今度から教室かあ」
と勘違いし、この部屋にどしどし入っていくだろう。
そうなればやつらはイヤがオウにも授業をしなくてはならず、
またガキどもに「先生、彼女いるんすか~」とか、お決まりの
質問で答えに窮したりするのである。
すばらしい、余りにもすばらしい復讐方法だ。
子供の心理を付いた、絶妙の方法である。
我ながら、この洞察力に恐れおののく。
これで高いびきをして寝れるというものだ。
ところが数日たった現在、まだ二階の連中はうるさい。
おかしい、もはや子供達の廃墟になっていて然るべきなのに…。
そこで私はおそるおそる二階へと向かった。
ん?おかしいぞ?
貼っていたはずのプラカードがなくなっている。
その代わりに何か張り紙がある。
なになに…
しまった…
こんな回避方法があったとは…
私はその場で打ち崩れた。
ああ…、完璧かと思われたこの方法が、
こうもあっけなく敗れるとは…。
出直しである。
復讐の死闘編はこうして第一幕を終えたのである。
……ところで、あのプラカード、どこにいったんだ?