« 全国未亡人連合-画廊・雨- | メイン | 全国未亡人連合-画廊・辻斬り- »

全国未亡人連合-画廊・冬の散歩道-




(解説)旦那がいなくても腹は減る。未亡人とて食欲はある。

その日、僕は未亡人に誘われ一緒に散歩をしていた。

冬の光景は柔らかな白に溢れ、様々な感情や想いを

風景に溶かし、冬はその白さをより際立たせていた。


あるコンビニの前、彼女は立ち止まった。

「ねえ、ちょっとおなかすいてない?」

少し恥ずかしげに僕の眼を覗き込んできた。

特に腹が減ったわけではないが、そこは男として、

ちょっと何か食べたいね、と気をつかった。


彼女はうれしそうにコンビニに駆けて行き、

湯気のたった袋を抱えてでてきた。

「肉まん買っちゃった」、うれしそうに微笑んだ。


金木犀の垣根道、僕等はまだ湯気立つ肉まんを

食べながら歩いた。

「冬の散歩の楽しみって、こういうのなんだよね~」

彼女はもごもごと笑った。


僕にとっては、上気だった彼女の顔を見るほうが、

ずっと大きな歓びに、思えた。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.w-room.net/mt/mt-tb.cgi/50

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

2010年04月

        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

最近のコメント

Powered by
Movable Type 3.34