奮闘編・2
第一陣は失敗に終った。
僕は悔しかった、あれだけ努力しても、二階のやつらはまるで騒ぎをやめようとしない。
それどころか昨日など、ギャーギャー別れ話をしやがる。
もう別れちまえ、と思ってたら今日はすっかり仲良くなったらしく、浜崎あゆみなんぞを歌っている。
ゆるさん。
僕は次なる作戦を考えた。
今回はいぶすことにした。
煙が湧く→二階へ流れる→煙にいぶされたやつらは煙たがる→僕に土下座する。
相変らずの見事な作戦である。
さっそく100円ショップで買ってきた安鍋に炭を入れ(うちは常時炭がある、なぜだ?)、コンロに火をかける。
室内で炭を焚く必要のある方は覚えておいた方が良いが、着火材などでちんたら火を熾すよりこのやり方のほうが手っ取り早く火がつく。
やがて炭は煌煌と燃え始めた。
魚も特別に「半額」になったやつを5日熟成させた。
つまり半腐り魚である、これで煙に一層毒性が混じる(単純に5日、この企画をやるのを忘れていただけなのだが…)。
さて、炭にしっかり火がついたので、キッチンから部屋へと鍋を移す。
すぐに部屋中を煙が埋め尽くした。
鍋の向こうにある我直筆油絵が悲しくぼやける。
↑どっちの料理ショーを見ていたが、何を作っているのかさっぱり見えない。
今日はどっちなのだ?
だんだんと魚が「魚だったもの」に変わっていった。
*何度も何度もしつこくて申し訳ないのだが、当ホームページに出てきた食品はすべて高度なcgである。本当の食品を玩具にすることは、食べ物を粗末にするようなものである、良い子は絶対にしてはいけない、と昔母に聞いた事がある。
ここは…どこだ……?
だんだん空気が薄くなってきた…。
私は薄れゆく意識の中で、あることに気がついた。
そうか…二階に行く煙より、発生源のこの部屋のほうが…もっと濃い煙が……。
失敗だ…、まだ死にたくなかった僕は、この作戦を断念し、ついに窓を開けてしまった。
このとき吸った空気ほど、旨い空気を僕は知らない。
ただ、cgとはいえ、食べ物を粗末にしてはいけない。
そこで僕は、一応グルメサイトの威信にかけて、旨そうに見える努力をした。
どうだろう? ちょっとしたフレンチのような姿ではなかろうか?
うむ、意外と旨いかもしれない…。
僕はフォークとナイフを手にとり、一口食べてみた…。
まずい、当然だ、腐っている上にこげているのだ。
煙とともに旨みは全部空気になった、海原なんちゃらに見られたら大激昂を食らいそうで恐ろしい。
*このコーナーはあくまでも「ザ・復讐」なので食べ物のその後は書かない。
関係ないが、明日はゴミの日で良かった。
こうして僕の奮闘編2部は静に幕を閉じようとしていた…。