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パンチの届く距離にいて

よめ

近頃、どうも疲れ目でしょぼしょぼするせいか、家で本を読むのが億劫になり、もっぱらライトなエッセイだったり漫画だったりをだらーと読むばかりだったりします。
特に4コマ雑誌なんかはだらだらと、なんの気なしに読めるので重宝しています。

その4コマ雑誌ですが、最近、個人的にヒットしたのにむんこさんの作品があります。
4コマ雑誌ですので、あまり世間的に名の通った方ではないのかもしれませんが、キャラがたち、ストーリーは趣き深く、笑いの後に涙ありと、押さえるところ押さえた実力派の作家さんです。

代表作の「らいか・デイズ」も良いのですが、「だって愛してる」という4コマが特にぐっと来ますね。
売れない作家とそれを支える妻、という古典的な設定ですが、奥さんのキャラクターが実にいいんですね。
元気で強気で時に夫に手もあげる江戸っ子気質の奥さんですが、もろくて弱気なところもある、その不完全さがいかにも人間臭く、ストーリーに深みを与えてくれます。
夫婦でなんとか一人前というバランス感を、説明文ではなく物語の中で表現しているのが読んでいて心地よいんですね。

ところでその「だって愛してる」ですが、雑誌内の単行本発売の広告に気になる一文がありました。
単行本の書影に次のコピーが重ねられていたんですね。

「パンチの届く距離にいて」

スマートでシンプル、わかりやすいコピーですが、この作品を表すのにこれ以上ない名コピーではないでしょうか。
夫婦の理想的な距離感って、おそらくそれぞれの夫婦で異なってくるのでしょうが、こういった「照れ隠し」が見え隠れする距離感って、なんだかいいなあと思ってしまいます。
いえ、実際の夫婦間ってそんなに簡単で理想的なものではないのでしょうが……。

なんにしてもいい作品かと思われます。
気になる方はAmazonなどで探してみるのもよいかと思います。
ちょっと昭和どっぷりな世界観と価値観なので、平成世代には「?」と思う部分もあるかもしれませんが。

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