京王線は下高井戸駅。
駅のすぐそば、活気ある商店街の一角にどっぷり昭和のなごりを残す「駅前市場」には、知る人ぞ知る、「長谷川商店」という魚屋が存在します。
何で有名かというと、魚が安いからなんですね。
で、本日ぶらりと立ち寄ってみたら、気になる商品が。
「えんがわ 1舟 500円」
あたくし、こうみえてもえんがわ大好き人間でして、あのびろびろでろでろ、魚脂たっぷりのこりこり物体が好物なんですね。
それをワンコインで大量に食えるのです。
即買いです。
(寿司通の人は「本物のひらめの縁側は脂なんてのっておらん! 回転寿司ででまわっとるのは別の魚の安いえんがわじゃ!」とかのたまうそうですが、んなことはどうでもいいのです。うまいと思えるものがうまいんだす)
いや、ほんと、こんなに大量のえんがわが我が家のまないたの上に乗っているのは壮観ですね。
というか、えんがわを単品で買ったことがないので、どう調理したものかわかりません。
仕方がないので、普通に寿司を握ることに。
といっても脂っぽいえんがわ、普通に食ってたら数個で胃がもたれそう。
そのため薬味を添えることに。
こちらはもみじおろしですね。
普通もみじおろしというと、大根にタカのつめを詰め込んで(シャレじゃないですよ)おろすのですが、面倒なので普通に大根おろしを作って粉末の唐辛子を混ぜました。
あとネギなんかも用意して、脂対策は万全。
寿司酢は砂糖の量を控えめに。
僕、どうも酢飯に限らず味付けが甘すぎるものって、苦手なんですよね。
甘さは味覚の中でもかなり「強い」ですからね、甘すぎるものは何もかも「甘い」味にしか思えなくなっちゃいます。
酢ができたらメシとあわせて寿司メシに。
ここで困るのが「うちわ担当」です。
あたくしのような単身者はしゃもじで寿司を切る際、うちわを仰いでくれる人が居ません。
そのため口であおぐか、パソコンの裏側のCPUクーラーを利用するか、あるいは天に祈って神風を吹かしてもらうか、それでも駄目なら最後の手段として扇風機を利用するかしかありません。
僕は一通り試した結果、どれもうまく行きそうになかったので仕方がなく扇風機を利用しました。
刺身を買ってくると時々やるのですが、一部のえんがわはハンドバーナーで正面を軽くあぶってみました。
ちなみにこのバーナー、うちの兄貴の結婚式で、引き出物のカタログに載っていたやつです。
今時の引き出物はなんでもありですな。
そんなこんなで完成。
もみじおろしやネギを載せたやつが彩り的にも良いアクセントになりました。
にしても多いっすねえ。
その数10貫。
すばらしい、これを店で食ったらいくらになるんだろう。
2貫100円のくるくる寿司屋で食ったら、なんと500円!
……え? 500円?
ええと……、ああ、まあ、あれです。
鮮度とか、雰囲気とか、んーと、そういうあれで、あれなんです。
そう自分に言い聞かせながら食してみました。
感想ですが……、えんがわって、やっぱ1、2貫食ってうまいもんですね。
こう何個もえんがわの寿司ばっかり食ってると、どうあがこうが胃にもたれます。
というかこんなに脂っぽかったっけ? 口の中がでろっています、かなりのもんです。
そんな時もみじおろしとネギの清涼感のすばらしいこと、すばらしいこと。
しまいにはもみじおろしだけでビールを飲んでいました。
えんがわ、いらないじゃん。
そんなわけで、やっぱり脂モノが胃にこたえるお年頃。
脂っこいものはほどほどにという教訓を得た日曜日でした。
そういえば酢飯を作っていて、ふと懐かしい気分になりました。
はてなんでだろうと思い出していて気がついたのが、実家でよく作っていた手巻き寿司です。
今振り返ると、うちのかーちゃんがメシ作るの面倒な時の献立だったんじゃなかろうか、とオトナ的邪推をしちゃったりするのですが、我が家では何ヶ月かに1回くらい、「手巻きの日」がありました。
あれは子供心に楽しかったですね。
自分の裁量で味を決めれる。
自分のさじ加減でとんでもないうまい物体を作れる。
そんな喜びがありました。
具材の用意をする母親の傍らで酢飯の準備をするのが子の仕事でした。
思えばあれがはじめて料理に触れた瞬間だったのかもしれませんね。
さすがに一人暮らしですと、手巻き寿司を作る機会なんてないので、とんとご無沙汰しておりました。
今回偶然酢飯を作る機会が来て、ふと懐かしくなりました。
たまには、手巻きでも食べに、実家に顔だそっかな。